《事件》[ 132 ]2002年 4月 13日
特許侵害で84億円賠償命令、肝心の特許「無効」も――特許庁が暫定判断
提供:日本経済新聞
先月、東京地裁が特許侵害で約84億円と史上最高額の賠償支払い命令を出した紛争が揺れている。焦点となった特許について、特許庁が無効の暫定判断を出し前提が崩れそうなため。特許紛争解決の適正・迅速化は政府の知的財産戦略会議の主要テーマの一つで、手続きの見直し議論が高まりそうだ。
パチスロ機の大手メーカー「アルゼ」が特許侵害されたとして、サミーなど同業二社を訴えていた裁判で、東京地裁は3月19日、遊び手の技量で絵柄をそろえることができるアルゼ保有特許の侵害を認めた。
この特許について今回、特許庁が特許無効の理由を複数の審判官が見つけたとして「無効理由通知」を関係者に発送した。特許になるには斬新な発明であることが法律上は必要。特許庁は過去の技術資料などから「容易に思いつくような内容だった」としている。
特許庁から通知を受けたアルゼは、二カ月間は特許が有効だと意見書で反論したり、無効の理由にあたる部分を除いて特許の範囲を狭くする申し出を特許庁にすることができる。特許庁は6月にも最終判断を出す。
現制度では特許侵害による特許紛争が始まると、損害賠償請求などは地裁が担当、特許そのものの有効性は損害賠償裁判とは別に特許庁が事実上の一審として判断する仕組みになっている。
賠償請求を担当する地裁は「特許が明らかに無効」の場合を除き、有効かどうかの判断ができない。今回も特許庁が侵害訴訟の被告企業からアルゼの特許に対する無効審判の請求を受け、検討を続けていた。
特許庁の無効判断を巡っては、不服の場合、東京高裁で審理を続けることができる。だが特許そのものは特許庁、損害賠償は地裁で別々に審理が進む複雑な制度が今回のような事態を招いた一因となった。
特許の有効の是非も侵害訴訟も同じ東京高裁で扱われるため、最終的にはねじれは解消されることになる。
十日に開かれた政府の知的財産戦略会議でも、松尾和子委員(弁護士)が特許侵害訴訟と特許無効手続きの抜本的な見直しを求めた。最高裁は「訴訟のなかで無効判断を(広く)する手続きの一元化は労力が節減できる効果があるが、審理期間が長くなる面もあり、政策判断ではないか」(千葉勝美行政局長)と述べるにとどまった。
企業コメント
サミーの話「当社は一貫して特許侵害はないと主張してきており、正当性を主張する状況が整ってきた。当社が従来主張してきた無効理由と特許庁が発見した無効理由を根拠に、裁判所と特許庁で当社の正当性を主張していく」(社長室)
アルゼの話「当該案件については特許室の担当者が見ているが、現段階で具体的な言及をすることは控えたい。今後も当社としては、当社の立場や当該特許の有効性を主張していくことに変わりはない」(IR広報室)
http://www.p-landmark.com/news/132.aspx