《社会》[ 358 ]2003年 2月 15日
777の誘惑・県内パチンコ事情(7)急増する依存症 「収支表」つけ現実直視を
提供:愛媛新聞
パチンコは、幅広い年代から人気を得ている一方、この数年「遊技しなければ落ち着かない」「やめたくてもやめられない」など、いわゆるパチンコ依存症に悩む人が急増。その数は全国に数百万人といわれ、心療内科などに駆け込む人が増えている。
依存症に陥った場合、5、6時間の遊技を数十分にしか感じない。夢中になり過ぎ車内に幼児を置き去りにした事件が、社会問題化したのは記憶に新しい。また、感覚がマヒして金を湯水のように使い、見境がなくなり日常生活に支障を来してしまう。欧米ではギャンブル依存症は病気として認識されているが、日本では理解が少ない。
パチンコ依存症については、諏訪東京理科大や信州大などが共同プロジェクトで研究中だ。依存者の脳内分泌物を調べた結果、麻薬中毒者の分泌状態と非常に似ていることが判明した。
研究結果によると、依存者は平常時でも、鎮静作用の「βエンドルフィン」と興奮作用の「ドーパミン」の血中濃度が、一般の人々に比べて、それぞれ約二〜三倍高い。βエンドルフィンはモルヒネの約十倍の効果があるといわれ、脳内麻薬の異名をもつ分泌物。ドーパミンは構造が覚せい剤にそっくりで、快感ややる気につながる。
依存者は、パチンコ店の入店直前からドーパミンの分泌量がさらに増加。遊技中のリーチ(絵柄がもう一つそろえば当たる状態)の際には大量に分泌される。大当たりの瞬間はβエンドルフィンが分泌され、使った金額を忘れてしまい、喜びに満たされる。
研究者の一人、篠原菊紀諏訪東京理科大助教授は「今のスロット機は短時間で大量のメダルが獲得できるため、連続的にβエンドルフィンとドーパミンを分泌。麻薬投与と同じような状態になり危険」と話す。
篠原助教授は、パチンコ依存症になりやすい人として▽日常のストレスが高い▽対人恐怖症▽悔しがりでリターンマッチタイプ―の3点を挙げた。コンビニで受け取ったレシートが777円だった場合、「今パチンコに行けば勝てる」などと思う人も同じ症状だ。
ホルモンの関係などから、男性よりも女性の方にその傾向が強いという。また現実逃避の場所としてパチンコ店に向かう人が最も症状が重くなりやすい。篠原助教授は治療法について「自分が依存症であると認識し、夢中になる対象をほかの行為に変えることが必要。まずは現実を直視するため収支表をつけることから始めるとよい」と提言する。
松山市花園町の県貸金業協会(福山裕三会長)には、パチンコによる借金の相談が増加。依存症になり、収入の少ない主婦が、消費者金融に手を出す例も増えているという。遊興費欲しさから犯罪に手を染めるケースもある。
パチンコ、スロット機の賭博性が高まるなか、遊技客が節度を持たなければならないのは当然。しかし、経済活動とはいえ業界の社会的責任は大きく、「爆裂機」を生んでいる検査システムをはじめ、増加する依存症や不正機問題を放置したままだと、結果的に客離れなどを招き業者自身の首を絞めることにもなりかねない。娯楽としての健全性を確保するため、警察や公安委員会を含めた関係者による大幅な見直しの時期が今、来ている。
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